本田ヒルズタワークリニックのつぶやき~ガンのゲノム医療とは~
2020年3月6日
私たちの身体には60兆個もの細胞が存在しますが、遺伝子の異常によって細胞が増殖すると、それがガンになってしまいます。
また、近年は新しいガン治療の形として、“ゲノム医療”というものが注目を集めています。
今回は、ガンのゲノム医療の概要、そして通常のガン治療との違いなどについて解説しましょう。
ガンのゲノム医療って何?
ガンはあらゆる遺伝子異常が積み重なることで発症し、近年の研究では、遺伝子異常は人の身体によって異なることがわかっています。
ガンのゲノム医療とは、1人1人のガンの原因を明らかにし、患者により適した治療薬の情報を提供する“次世代のガン治療”のことを言います。
遺伝子レベルで自身のガンを理解することは、治療薬などの治療方針の選択に役立つだけでなく、副作用の軽減や症状の緩和などに繋がります。
日本でガンのゲノム医療が始まった背景
ガンは日本人の死因の多くを占める、とても恐ろしい病気です。
また、それが国民の生命と健康にとって重大な問題であるとされ、2007年には“ガン対策基本法”が施行されました。
以降、日本ではさまざまなガン対策が進められてきており、その対策の1つとなっているのが今回解説するガンのゲノム医療です。
ガンのゲノム医療は、2018年に閣議決定された“第3期ガン対策推進基本計画”において、患者本位のガン治療を実現するための施策として推進されることになり、提供体制の整備が着々と進められています。
通常のガン治療との違いは?
通常のガン治療とゲノム医療の1番の違いは、やはり症状が出た臓器ではなく、ガンの原因である”遺伝子の変異“に基づいて診断・治療が行われるというところでしょう。
例えば、肺ガンであると診断された方がいたとしても、変異している遺伝子が違えば分子標的薬(体内の特定の分子を狙い撃ちし、より有効に病気を治療する薬)や免疫チェックポイント阻害剤などの薬剤の効果、副作用は異なります。
また、異なる臓器のガンでも遺伝子変異が同じであれば、同じ薬剤が効果を発揮することも考えられます。
つまり、従来のガン治療のように、症状が出た臓器の診断・治療を行うよりも、遺伝子レベルで診断や治療を行う方が効率的かつ合理的だということですね。
近年、分子標的薬の開発と並行して、“コンパニオン診断”や“ガン遺伝子パネル検査”と呼ばれる技術が進歩したことにより、ガンのゲノム医療が徐々に普及し始めています。
どこで受けられるのか?
ガンのゲノム医療は、厚生労働省に指名された、必要設備・体制を整えた医療機関で受けることが可能です。
具体的には、“ガンゲノム医療中核拠点病院”、“ガンゲノム医療拠点病院”に加え、これらと連携する“ガンゲノム医療関連病院”ですね。
ちなみに、ガンゲノム医療中核病院は全国に11ヶ所、ガンゲノム医療連携病院に至っては全国156施設もあるため、決して限られた一部の方しか受けられない治療ではありません。
必ず治療に繋がる情報が得られるのか?
ガンのゲノム医療では、患者のガンの原因、治療効果が期待できる国内承認済みの治療薬、臨床試験中の治療薬の情報が得られます。
ただ、そのような有用な情報が得られる可能性は、決して100%ではありません。
また、結果に基づいた治療を行っても、十分な効果を得られない可能性もあります。
つまり、最先端の治療ではあるものの、決して完璧な治療ではないということですね。
まとめ
ガンのゲノム医療における遺伝子検査は、ガンと診断され治療中の方、もしくはこれから治療を受けようとする方であれば、誰でも受けられます。
そのため、ガン治療により効率性や正確性を求める方は、1度検査を受けることをおすすめします。
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