本田ヒルズタワークリニックのつぶやき➀タバコと肺がんの関係
2020年1月25日
昔から、タバコを吸っている人は肺がんになりやすいといわれています。
それについては、もはや常識といってもいいほど知れ渡っているでしょう。
しかし、本当にそうなのでしょうか?
タバコと肺がんの関係性
喫煙者と非喫煙者の肺がん発症率を比較すると、喫煙者のほうが発症率は確かに高くなっています。
しかし、そのことで受動喫煙が問題視され、喫煙できるスペースはどんどんと減少しており、それに伴って喫煙者の数もかなり減っています。
喫煙者の方は実感しているでしょうが、昔は街中でも平気でタバコを吸う人がいたのに対して、今では路上喫煙が禁止され、設置された喫煙所もどんどんと撤去されています。
飲食店でも分煙から始まり、完全禁煙となっている店舗も多いでしょう。
さらには、喫煙者が多いイメージのあるパチンコ店でも、分煙や禁煙の動きが広まっています。
また、タバコの価格もどんどん高くなっています。昔は冗談で、1箱500円くらいになるんじゃないかという人もいたのですが、現在では一部の銘柄を除いて、冗談抜きで500円以上になっています。
喫煙者は悪、と言わんばかりの風潮が広まっている中で、喫煙者は肩身の狭い思いをしているため、いっそ禁煙しようと考える人も増えているのです。
しかし、喫煙する人が減っていく一方で、不思議なことに肺がんによる死亡者数というのは年々増加しています。
喫煙によって肺がんとなる人が増えるのであれば、喫煙者数が減ることで肺がんの死亡者数も減っていくのが当たり前のように思えます。
しかし、実際には増えているというのは、どういうことなのでしょうか?
一応、説としてはいくつかあります。その中でも特に多いのが、喫煙者は禁煙してからも、数年間は肺がんの発症リスクが高いままとなる、という説です。
しかし、それは立証が難しい問題であり、いささか強引な説であると感じます。
また、その理屈でいうと、肺がんにならないようにと禁煙しても、あまり意味がないということになってしまいかねません。
結局、常識のように語られているタバコと肺がんの関係性というのは、実際のところあいまいなものなのです。
そもそも、喫煙によって必ず肺がんリスクが高まるとも言い切れません。
ただ、それならタバコを吸っていても問題はないのか、というとそれもまた違います。
もし、肺がんリスクがないと仮定しても、タバコにはほかの害もあるのです。
肺がん以外にあるたばこの害とは?
まず、タバコは肺がん以外にも、咽頭がんや食道がん、肝臓がん、すい臓がんなど、多くのがんの発症原因になるといわれています。
喉頭がんや食道がんの場合は、肺がんと同様にタバコと直接の関係性があるといわれるのは理解できますが、それ以外のがんに関してはあまり関係性がないように思えます。
しかし、実はタバコの成分には様々な種類の発がん性物質が含まれているといわれていて、そのせいでほとんど全身のがんと因果関係があるという科学的根拠が推定されていて、厚生労働省でもそれを認めているのです。
がん以外にも、タバコによって病気になるリスクが高まるといわれています。
たとえば、脳卒中や心筋梗塞などがその筆頭でしょう。
これは、タバコに病気が発症するような成分が含まれている、というわけではありません。喫煙による影響から、病気を発症しやすい状態になってしまうのです。
どういうことかというと、タバコに含まれるニコチンには、血管を収縮させるという機能があります。
血管が収縮すると、血液の流れが阻害されてしまいます。
そうすると、全身を循環するはずの血液が一部の場所にたまりすぎてしまい、その結果、血圧が上昇してしまうのです。
また、喫煙によって交感神経の働きも活発になります。
それもまた、血圧を上昇させることにつながるのです。
血圧が上がって脳の一部を圧迫すると、脳卒中が発症しやすくなる、というのが、タバコと脳卒中の関係です。
血管が収縮するということは、EDの原因にもなりかねません。勃起するときは海綿体に血液が流れ込むのですが、血管が収縮しているとうまく血流が増大しないため、勃起しにくくなってしまうのです。
また、血圧が高くなることで血管には大きな負担がかかります。
喫煙すると、血液中には活性酸素といわれるものが増加します。
この活性酸素は、老化の原因となる物質といわれているのですが、それが増加することで血管の老化にもつながるのです。
そのせいで弱った血管に対して、血圧が上昇したことで負荷がかかるため、血管もあちこち傷んでしまいます。
それが、動脈硬化を引き起こす原因となります。
喫煙によって肺がんになりやすいかどうかははっきりとしていませんが、肺がんになった際に喫煙していると、その治療に大きな妨げとなることは間違いありません。
例えば、喫煙者が肺がんになると、手術を受けるためにはまず1か月程度禁煙することを求められます。
なぜかというと、喫煙している人をそのまま手術すると、術後の経過が芳しくないことが多いからです。
そのせいで、禁煙できないという人は病院でも治療を拒否することがあります。
さらに、選ぶことができる治療法も少なくなってしまいます。
このように、肺がん以外にも喫煙には多くのリスクがあります。
喫煙するのであれば、リスクについても把握したうえで習慣にしたほうがいいでしょう。
まとめ
喫煙と肺がんの関係性は、かつての常識とは違って今では懐疑的なものとみられています。しかし、肺がん以外にも喫煙による害はいろいろとあるので、現在喫煙している人もこのまま続けるかどうか、一度考えてみることをおすすめします。
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