本田ヒルズタワークリニックのつぶやき~なぜ心臓はガンになりにくい~
2020年2月26日
私たちの命を脅かす代表的な病気に“ガン”が挙げられます。
ガンは肺や肝臓、胃や大腸など、さまざまな臓器において発症する可能性があるものですが、心臓がガンになる可能性は極めて低いです。
では、なぜ心臓はガンになりにくいのでしょうか?
今回はその理由について詳しく解説しましょう。
ガンとはどういうものなのか?
私たちの身体には、60兆個にも上る細胞が存在します。
また、細胞は常にさまざまな傷を受けており、その都度修復しようとしてくれます。
しかし、何らかの遺伝子異常が発生すると、細胞が増殖を繰り返して止まらなくなり、それが何年も継続することで、異常な細胞のかたまりが完成してしまいます。
このかたまりこそが、ガンの正体だというわけですね。
ちなみに、身体の表面の細胞に異常が発生し、かたまりになったものはガンですが、身体の奥の細胞に異常が発生してできる腫瘍は“肉腫”といい、正確にはガンとは別のものになります。
心臓がガンになりにくい理由
心臓がガンになりにくい理由は主に4つあります。
1つずつ見ていきましょう。
・身体の内の方にある臓器だから
心臓は、身体の表面ではなく内の方にあります。
そのため、表面の細胞に異常が発生することでできるガンにはなりにくいのです。
ただ、奥の細胞の異常によって発生する肉腫に関しては、心臓でも発生する可能があります。
したがって、心臓に病気のリスクがまったくないわけではありません。
・心筋の細胞が増えにくいから
心臓には、“心筋”という筋肉が存在します。
これは、“心臓筋”とも呼ばれるものであり、心臓拍動のための収縮を行うために必要なものです。
また、心筋には細胞が増えにくいという特徴があり、コピーされる機会も少ないため、異常が発生することもあまりありません。
これが、心臓がガンになりにくい2つ目の理由です。
・温度が高いから
先ほども解説したように、心臓は身体の内の方にあります。
そのため、保湿性に優れており、なおかつ熱が高い肝臓に近いことで、必然的に心臓の温度も上がっています。
また、悪性の腫瘍は高温にめっぽう弱く、心臓の温度の高さも、ガンの発生防止に一役買っていると言えるでしょう。
他の臓器から異常な細胞が心臓に流れ着いたとしても、温度が高いことで、そこに細胞が留まることはほとんどありません。
・ホルモンが作用しているから
心臓では、“ANP”というホルモンが造られています。
これは、“心房性ナトリウム利尿ペプチド”と呼ばれるものであり、心臓の負担を減らす作用などに加えて、血管を綺麗にする作用を持っています。
つまり、ANPが血管のささくれた場所を減らし、心臓におけるガンの発生や転移を予防してくれているというわけですね。
もし心臓でガンが発生するとどうなる?
滅多にないことですが、もし心臓でガンやそれに近い悪性腫瘍が見つかった場合、事態は非常に深刻だと言えるでしょう。
心臓には、酸素をいっぱいに含んだ血液をポンプの作用で全身に送り出す役割があります。
したがって、ひとたび心臓でガンが発生すると、異常な細胞がすぐ全身に行き渡ってしまう可能性があるのです。
悪いものを身体中に広めてしまうということですね。
また、心臓は他の臓器と違い、基本的には休ませることができません。
そのため、ガンやそれに近い症状が見つかったからといって、むやみに切除することもできないのです。
まとめ
心臓はガンに滅法強く、他の異常な細胞に侵される可能性も極めて低い臓器です。
ただ、100%ガンにならないわけではない上に、もし発症してしまった場合、もっとも治療が困難な臓器であることも確かです。
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